☞「心の丸窓」は心の杜の医師・心理師による心の診療に関するコラムです。
思春期は人の心が発達するために人生でもとても重要な時期ですが、同時に通過するのがとても難しい時期でもあります。今回少しこれについて考えてみたいと思います。
思春期の課題の一つは自分の性的な肉体を受け入れ、適応していくことです。エディプス葛藤(異性の親とパートナーになりたいという欲求と、同性の親とライバル関係になる幼児期性愛の葛藤)がこの時期によみがえり、再び扱われなければなりません。
彼らにとってもう一つのとても重要な課題は大人としてのアイデンティティを確立することです。言い換えれば、両親から独立していかなければなりません。この課題は想像するよりかなり大変なことです。なぜなら彼らは自分たちのことを不適格で、他の大人達より劣っていると感じ、非常に不安でもあるからです。彼らは彼らの両親や、両親を体現するもの、つまり学校の先生や権威などと戦う必要があるのです。彼らは自立するために、親のような対象や権威と戦う必要があります。彼らは時に反抗的、暴力的になったり、破壊的な行為を行うこともあります。
この過程はいつも安全で穏やかなものであるとは限りません。それは時には悲劇的な顛末を辿ります。しかし残念ながら親にはもう彼らを制限し、守ることができなくなっているのです。
*本稿は、心の丸窓(39)の日本語版です。
(具眼 記)