心の丸窓(14)
薬の処方について〜 一般名処方

☞「心の丸窓」は心の杜の医師・心理師による心の診療に関するコラムです。

今回は平成2591日から心の杜・新宿クリニックで導入される「一般名処方」についてご説明したいと思います。「一般名処方」というのは、厚生労働省がジェネリック医薬品(後に説明します)の使用促進を図るために推奨している処方せんの形態で、患者さんにも利益のあるものだと考えています。

お薬には有効成分を主に表す「一般名」と各製薬会社ごとの名前の「製品名」というものがあります。例えば痛み止めのロキソニンという有名な薬で説明をします。ロキソニンという名称は「製品名」で、有効成分を表す「一般名」はロキソプロフェンナトリウムといいます。今までの処方せんでは私達医師は「製品名」のロキソニンと書いていましたが、今後「一般名処方」が導入されると「一般名」のロキソプロフェンナトリウムと書くということになります。

ではそれが患者さんの利益にどのようにつながるのでしょうか? まず「ジェネリック医薬品」についてご説明しなければなりません。お薬は開発されて数年は、限られた製薬会社のみで作られる「先発医薬品」として販売されます。そのお薬の特許期間が切れると、その他の製薬会社でも作ることができるようになります。そしてそうやって作られた「お値段は安いけど効果は一緒」というお薬が「ジェネリック医薬品」と呼ばれるものです。例えばロキソニンで考えればロキソニンの薬の値段は約230円、ジェネリック医薬品での最安値(ジェネリック医薬品は数種類ありますので)は約56円。つまり約1/4の値段になるわけです。

さて、「一般名処方」と「ジェネリック医薬品」を組み合わせて考えてみましょう。今までの処方せんでは、私達医師は「製品名」、つまりロキソニンといった記載をしてきました。この場合、患者さんは基本的に薬局でロキソニンを受け取ることになりますが、ジェネリック医薬品も選べるようになっていました。しかし今後私達は「一般名」であるロキソプロフェンナトリウム(正確には「【般】ロキソプロフェンNa」という書き方をします。最初につく「【般】」という字が一般名処方の目印です)と記載をします。その処方せんを持った患者さんが薬局に行くと、患者さんはそこでロキソニンでも、等しくジェネリック医薬品でも選べるようになります。先発医薬品ロキソニンとジェネリック医薬品は上記のように値段の差があるのでジェネリック医薬品を選ぶことで費用削減になると考えられるわけです。ここではロキソニンを例にしましたが、心のお薬でもジェネリック医薬品が作られているお薬なら同様です。

ただ既に処方を受けてきた患者さんにとっては、今まで馴染んできた名称ではないものが処方せんに記載されるということで多少なりとも混乱とご迷惑をおかけすることになるかもしれません。当院ではわかりやすい説明用紙を準備していますし、受付スタッフや各主治医も説明ができますのでご不明な点はお問い合わせください。医療費節減に意味のあると考えられる「一般名処方」です。皆様のご協力をお願い申し上げます。

(湖底の月 記)