心の丸窓(11)
マリッジブルー

☞「心の丸窓」は心の杜の医師・心理師による心の診療に関するコラムです。

ブライダルシーズンの6月に先駆けて、マリッジブルーをテーマにしてみます。マリッジブルーは医学的な用語ではなく、一般に結婚をひかえた時期にあらわれる不安やうつ的な状態をさします。祝福されながらの結婚であっても、このような状態に陥ることがあるのです。

結婚は人生においてたいへん大きな選択ですから、気持を決めていても、意識の下にゆらぎがまったくないとはいえません。また、カップルはお互いだけではなく、そのまわりの人々と関係を密にしてゆくことになります。そして、生活の環境はかわり、こどもの立場から妻や夫の立場に移行します。つまり、多くを得るなかでまた、多くを手放すことにもなってゆくのです。

 こうしたライフサイクルにおける激動の時期に、程度の差はあっても、誰しも不安や気持ちの沈みを感じることは不思議ではありません。なかにはその程度が大きく、睡眠障害や体調不良などもまねく場合があります。ごく心理的な症状の場合もあれば、うつ病になりやすい体質をもった方の症状がめだってくる場合もあります。

 いずれにせよ、結婚をひかえた時期に不安や気持ちの沈みがなかなか落ち着かないようでしたら、いちど精神科で気持や考えの整理をしてみるのもひとつの方法です。すべてのケースに薬が必要なわけではありませんが、なかには一時お薬を使うことが支えになる場合もあります。

(風蘭 記)