心の丸窓(8)
眠ることと睡眠障害

☞「心の丸窓」は心の杜の医師・心理師による心の診療に関するコラムです。

睡眠はとても日常的な行動です。一日の内の、そして一生の内の多くの時間を人は眠りながら過ごすのですから、より良く生きるためには、より良く眠ることが欠かせません。しかし、「眠ること」に関しては多くの誤解があるようです。例えば、「理想の睡眠時間は8時間」「眠れなくてもベッドでとりあえず待つ」「お酒を飲むと眠り易い」「睡眠薬は危険」といった説は、現代の睡眠医学では間違った考えとされていますが、未だに信じている方が多いように思います。

5人に1人」の日本人が睡眠に困難を抱えていると言われる今日、「睡眠障害」も多岐に渡っており、原因も治療法も様々です。背景に「うつ病」などの心の病気が隠れている場合もありますし、中には、身体的な問題が原因で生じる「睡眠障害」やレストレスレッグズ症候群【註】などといった特殊な「睡眠障害」もあります。精神科や心療内科が関わるのは、主に心の状態に左右されて起こる「睡眠障害」の方です。一方身体の問題が背景にある場合には、内科や耳鼻咽喉科などが関わることが多いようです。

当クリニックの診療では、様々な誤解によって「睡眠障害」への対処が間違った方向に進まないよう、まずは診断を深めながら、正しい知識をお伝え出来ればと思っています。 

【註】 下肢のむずむずとした不快な感覚のために眠りが障害される病気で、原因は様々。

(耕雲 記)